カーティン大学ー看護学科 体験談
Yさん
渡航都市:パース
学校:カーティン大学
コース:Bachelor of Science(Nursing)
リフレッシュ&語学留学からスタートし、難易度が高いと言われている看護学科への大学進学を成功させたYさんの体験談をご紹介します。
▶▶▶語学留学から医療英語コースまでの体験談はこちら
Yさんの出発時の英語力は中級。日本での看護師経験は約10年。
約1年半の語学留学(一般英語コース、ケンブリッジ、アカデミックコース、医療英語コース)でアイエルツ6.5(スピーキング7.0)までアップされました!
実は、Yさんが大学に入学されたのはコロナ禍の真っただ中。多くの学生がオンライン学習に切り替わったり、十分な実習時間が取れないという過酷な状況でした。
そんな中、難関といわれる医療系コースで学習されたYさんにお話を聞かせていただきました。
これから大学の看護学科での留学を考えている方には、厳しい現状をお伝えつつも、プランニングの参考にもなる内容だと思いますので、ぜひ参考にしてください。
○Yさん、お帰りなさい!
まずは入学した大学とコース名をお聞かせください。
大学名は、西オーストラリアにあるCurtin University(カーティン大学)で、コースはBachelor of Science(Nursing)(RN conversion)です。
○入学までのプロセスをお教えていただけますか?
一年半の語学留学後、IELTSに挑戦も大学入学基準(IELTS7.0)に達していなかったため、カーティン大学付属のEnglish language bridging courseを17週間受講しました。
○次に、大学生活についてお聞かせください。
大学生活はバイトをしていなかったため、比較的ゆっくりすごせたと思います。学期の始めに自分で授業のスケジュールを組むので、うまく組めると必要最低限の通学で済ますこともできます。私は登録にトラブルがあったりスケジュールを組むシステムをよく理解できていなかったので、無駄な時間の多いスケジュールとなってしまいました。
授業では、英語が理解できず何について話していつのかさっぱりわからない時もありましが、それよりもやはりアセスメントに苦労しました。アセスメントは各ユニット3つあり、2つのエッセイとグループプレゼンテーションの組み合わせが多かったです(実習もアセスメントの一つです)。自分で課題に沿った資料を集めて調べ1500から2000文字程度にまとめるものが多く、ライティング力が問われとても苦労しました。
私はあるアセスメントでクラス最低点の赤点をたたき出してしまい、教授と電話で話す(コロナのため)こととなり、ユニットをパスできないのではないかと精神的に追い込まれたこともありました。アセスメントの度に、なんでこんなことをしないといけないんだ、もうやりたくないと投げやりになり本当にしんどかったです。
○クラスメイトはどんな方が多かったですか?
10代、社会人、キャリアチェンジ組、移民などいろんな方がいました。
私の出会った正看護師コンバージョンコースの生徒はフィリピン、ネパールの人が多かったです。
看護学部にいる日本人は私の知る限り2人でした。2人とも日本で看護師をしていたわけではなく、一人はオンラインコースを、もう一方は2年間のマスターコースで看護師を目指しているそうです。二人とも子育て中のママさんでした。
○授業ではどんなことを学びましたか?
1学期の内容
Indigenous Cultures and Health Behaviours
Imagining Health in Social and Cultural Contexts
Inquiry for Professional Practice, Integrated Clinical Practice
2学期の内容
Inquiry for Evidence-based Practice
Nursing and Midwifery Capstone
Transitional Nursing
Practice
上記の7つのユニットが必修科目となっています。
Indigenous Cultures and Health Behavioursでは先住民族の健康について先住民族の文化と照らし合わせて学びます。この科目は看護だけでなく医療に関わる様々な分野の生徒がおり、一クラスの人数も多かったです。生徒の年齢層も広かったように思います。
Imagining Health in Social and Cultural Contextsでは健康を社会や文化の観点から考えます。この科目は看護の新入生の必修科目なので、10代の若い生徒が多かったです。
Inquiry for Professional Practiceは、看護に関わる法律や倫理など学びました。まったく意味が分からずとても苦戦しました。
Integrated Clinical Practiceは実技と3週間の実習があります。実技では抗生剤の準備、皮下注や筋注の練習でした。実技は一部屋6~10人程度のグループに分かれて一人の講師が付いての授業でした。
Inquiry for Evidence-based Practiceでは看護研究の仕方について学びます。実際に研究をするわけではありませんが、研究についての知識がほとんどないので意味不明でした。
Nursing and Midwifery Capstoneは、医療事故を防ぎ患者の安全を守るには、看護の質を上げるにはどうしたらよいかを考えました。
Transitional Nursing Practiceは5週間の実習とシミュレーション実技があります。実技は患者さんを訪室すると急変、どう対応するかというものでした。
授業はコロナのためオンラインとなってしまい、あまり活発な議論などはありませんでした。
先生が質問しても誰も反応しなかったり、同じ人ばかりが返答するという感じでした。チャット機能の方が活用されていたと思います。
○実習について聞かせてください。
実習先や実習先の決め方、感想も教えてください!
Integrated Clinical PracticeとTransitional Nursing Practiceのユニットで計8週間の病院実習がありました。実習については「SONIA」というオンラインで管理され、実習時期のみ最初に振りわけられますが、実習先の病院は実習1か月前くらいにSONIAで発表されたと思います。実習先病院や病棟の希望が出せるのかどうかはよくわかりません。
初日にオリエンテーションがありその後すぐ病棟実習という流れでした。実習は月~金の朝7時~15時半又は13時~21時半でしたが、病院によっては土日や夜勤もあるようです。
実習ではバイタルサイン測定、与薬、入院受けや退院処理など出来ることは何でもやります。
日本より出来る医療行為や受け持つ患者数も多く、就職時にはある程度自立して動けるようにするのが目標なのではと思います。
実習には、実習目標や感想のレポート、クリアしなくてはいけない課題も含まれています。これら実習に関わるレポートはすべて「Pebble Pad」といわれるオンラインサイトを通して提出し、最終的に合否を判断されます。
私の実習は公立病院の日帰り、短期の手術病棟(3週間)と私立病院の心臓血管外科病棟(5週間)でした。最初の病棟では9割がオーストラリア人のナースでしたが、次の病棟の9割はインターナショナルナースでした。
日本ではNICUで働いていたのですが、その看護経験を生かすことはほぼできず、また患者さんやスタッフとの英語でのコミュニケーション、薬品名や病名など英語での苦労も多かったです。自分の英語力のなさ、また医療的知識のなさと実習中はかなり心が病みました。
でも基本的に患者さんスタッフ皆さんは優しかったです。
一つとてもショックだったことは、ほとんどの病院がまだ紙カルテだったことです。他の州は分かりませんが、西オーストラリアでは電子カルテは少数派だそうです。
Yさん、とても詳しく教えてくれてありがとうございます!
最後に...
大学での看護留学を目指す方にアドバイスがありましたらよろしくお願いします!
オーストラリアで看護師として働くにはいろいろな方法がありますが、どの方法であれ、やはりネックになるのは英語だと思います。英語でコミュニケーションを取ったり、時間をかけて難しい論文を読み書きするのと、英語のテストで点を取るのとでは少し求められる英語力が違うと思うので、大学を卒業できても英語のテストに受からず看護師登録ができないという日本人は多いのではと思います。看護師登録するための英語の基準も上がり、それに伴いカーティン大学では大学付属のEnglish language bridging courseを通しての看護学部への入学は出来なくなってしまいました。
求められる英語力が高くなり、日本人にはますます登録へのハードルが高くなってしまったと思います。
私が受けた1年のコンバージョンコースの友人はほとんどPTE(英語テスト)を受けていました。 PTEは日本人にはあまりなじみがないですが、とりあえず看護師登録するために点を取るというにはいいのかもしれません。病院での実践的な英語力をつけるにはOETの方が役に立つかなと思います。コロナ禍でオーストラリアへ行くことができない今、受験生のようにとりあえず英語のテスト合格を目指すのも一つの手かなと思います。
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Yさん、約3年の留学生活、本当にお疲れさまでした!
マンリー(シドニー)ではシェアハウスに招いていただいたり、カフェで一緒にクジラを見たり、アデレードではおいしい火鍋を食べたり...と、Yさんとはオーストラリアで何度もお会いしました。
突然ダーウィンに転校したり、交通機関が全くない農場でボランティアを始められたりと、思い立ったら即行動を起こすYさんの姿をいつも頼もしく拝見しておりました。
これからもYさんの行動力を生かして、沢山の挑戦をしてほしいと思います。Yさんの活躍を心から応援しています!!貴重な体験談ありがとうございます。